コラム

耐震性能基準

2024年03月16日

 年始からショッキングな出来事が起こりました。
 2024年1月1日16時10分。石川県能登半島の北東約40kmを震央として地震が発生しました。地震の規模はマグニチュード7.6。輪島市では震度7が観測されました。発生直後、私は福知山にて運転中のため全く揺れも感じず、帰宅直後のニュースにて知ることとなりましたが、自宅にいた子供たちは震度2の揺れを体験したと聞きました。今回の地震でお亡くなりになられた方や被害に遭われた方に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、いち早くの平穏と復興を切に願います。

 命を守るはずの住宅が、倒壊により多くの人命を奪うことになったことは、建築に携わる者として本当に心が痛みます。2月初旬に共同通信が地域ごとに、地震に耐えることのできる家屋の割合を調査をしました。1980年以前に建てられた建物【旧耐震基準】の割合が、被害にあった珠洲市、輪島市、能登町では60%もあり、今回の地震による被害拡大の原因になったといいます。ちなみに京都府内では京丹後市が一番高く45%となっています。原因は様々ですが、人口減により高齢化が進み、耐震改修への意識が低いとの背景があるといわれいます。
 
 最近は住宅の地震に耐える性能数値を【耐震等級】といい、3段階で数値化しています。表を見てみると分かるように、皮肉にも2016年の熊本地震では震度7が週に2回も発生し、この強度について実証されました。 



 倒壊率を比較すると明らかです。旧耐震では28.2%が倒壊。耐震等級1でも6棟が倒壊し、耐震等級2では1棟が倒壊しました。それに比べて、耐震等級3では、なんと倒壊は0棟でした。私たちの住むこの地域は津波もなく、地震を想定すると内陸型地震であった熊本が大いに参考になると思います。
 
 私たちは自然の脅威に幾分かは、克服してきました。
生命と財産を守る職として、これからも責任を持っていかなければなりません。
 私たちのつくった建物で命を亡くされることは絶対に許されないと思っております。
上田 公平